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動く浮世絵が3000リツイート!作者の瀬川三十七に聞いた急に訪れたヒットへの道のりと表現の原点

「動く浮世絵」という有りそうで無かった?GIFアニメ作品を発表し、話題となった瀬川淳希さん。瞬く間にTwitterで拡散、一気にプロクリエイターとしてデビューされた瀬川三十七(せがわ さんじゅうしち)さんに、お話を聞く事ができました。

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【動く浮世絵】酒のざしき by 瀬川三十七

「動く浮世絵」だけでなく、映像作品なども発表されている瀬川さんの魅力とその表現の原点がわかるインタビューとなりました。

 

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瀬川三十七
Twitter:https://twitter.com/s07741657
プロフィール:1988年生まれ、富山県出身。高校卒業後上京し東京大学に入学。大学時代は落語研究会に所属し漫才やコント、映像制作に力を注ぐ。卒業後、就職したが並行して制作活動を続け4年後に退社。現在は映像作家として活動。

―― 最近まで会社員として働いていたそうですね?

瀬川 はい、ちょうど1年前まで会社員としてウェブサイト制作や運営を担当する仕事をしていました。2015年の4月に会社を辞めて、フリーランスとして活動を始めました。自分の作品を形にしたいという思いがあって辞めたのですが、その時はフリーランスで食べていける見込みも何もなかったです。

―― 「動く浮世絵」を発表されたのもその時期でしょうか?

瀬川 あれは会社を辞めてから6ヶ月後くらいです。8月に最初の「動く浮世絵」をTwitterに投稿しました。投稿したその日からリツートが止まらず、一体どうなってんだ?と。投稿したその日に海外のサイトが記事にして紹介してくれました。正直、なんだか気持ち悪いなと思いましたよ。

―― 最初が海外メディアだったのですね。

瀬川 はい。海外メディアは早かったです。その後、数日経って日本のメディアが取り上げてくれました。最初はネットニュース系のメディアからメールで取材がありいくつか記事になりました。その後に民放各局からの取材があり、テレビで紹介してくれました。

―― まさにシンデレラ・ストーリーという感じですね。

瀬川 その時は正直なところ全く当事者としての感覚は無かったです。自分から何か仕掛けるつもりで投稿したわけでもなかったですし。特に知り合いにお願いしてリツートしてもらったわけでもありません。そもそも「動く浮世絵」の事は誰にも何も話していませんでした。フォロワーも投稿時は200〜300人くらいだったと思います。それが、最初に出した新幹線が走るものは3,000くらいリツイートされました。その時同じタイミングで一気に10個くらい出したのですが、それも記事にされやすかった理由だったのだと思います。

―― そこから仕事にはどのように繋がっていったのでしょうか?

瀬川 テレビの取材と同時期かその直後くらいから今度は仕事の依頼が来るようになりました。最初は江崎グリコ社からポッキーとのコラボの依頼がきました。その後はNEC、ソニーデジタルなど、次々と仕事の依頼を貰って、これはフリーランスとして何とかなるんじゃないかと。それで個人事業主の開業届けを出しました。それまでは貯金を切り崩して暮らしていました。実際のところ、途中で就職活動もしていたんです。

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瀬川 「動く浮世絵」を発表して、拡散している段階でも、その時点ではお金になっていなかったので、就職すべきか悩んでいました。そんな時にTwitterで動く浮世絵を見た人からフリーランスとしてWeb制作・運営の仕事をしないかという依頼があり、それなら転職活動を辞めてフリーランスとして取り組もうと決心しました。でも先月やっと黒字になりましたよ。たくさんニュースになったのが9月頃だけれど、その時点ではまだまだ迷っていましたね。10月くらいに決意した感じです。

 

 

―― 今はご自身で売り込みや営業のような事もされているのでしょうか?

瀬川 いいえ、営業的な事は何もしていません。Twitterなどを見た企業の方から直接仕事の依頼をメールで頂く事がほとんどです。僕自身このような経験が初めてなので、例えば依頼のあった仕事でいくら貰えば良いのか、ギャラの決め方とかもわからないという感じです。最初の頃に広告代理店の方に金額を提示したら「いくら何でも安過ぎる」と言われました。今はだいたいの目安がわかったのでそれでやっています。仕事として「動く浮世絵」を作るようになった事で、最近は制作のスピードも上がってきたと感じます。

―― 制作時の着想や、実際の制作はどのように行っているのでしょうか?

瀬川 浮世絵を動かすという発想は、友人に頼まれて映像を制作した際に浮世絵を素材に使ったのですが、その友人から「この浮世絵をもっと格好良くして」という依頼があって、どうしようかと悩んだ末に浮世絵を「動かす」というアイデアに至ったんです。

―― 利用しているソフトウェアは何ですか?

瀬川 PhotoshopとAfter Effectsを使っています。大学の頃から趣味で映像を作っていたので、Adobe製品を始めとする制作系のソフトは使い慣れていました。これが仕事になってからは、兎に角作業している時間が長いので、ある意味自然と技術が習熟しているのだと思います。作業も大幅に効率化していると思いますし。

―― 最初からどのように動かすかをイメージして作るのでしょうか?
瀬川 それは都度異なります。最初に動きを想定して作り込むパターンもありますし、作っている過程で色々なアイデアを思いついて、動きを追加していくような作り方になる場合もあります。日頃から色々なところで目にしたものを何となく記憶していて、そういうちょっとした記憶が作るものに反映されているのだと思います。

瀬川 昔からですが、僕は色々なことを映像として記憶するタイプなんです。例えば大学受験の時とか、大学での講義とかに自分のノートを作りますよね?そこに書かれた内容を憶えているというより、そのノートのページそのものを映像として記憶しているんです。映像を作る人には意外にそのタイプが多い気がします。

―― 制作にあたってどのような点に苦労されていますか?

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瀬川 元になる浮世絵を探してくるのが一番苦労するかもしれません。浮世絵が乗っているサイトをひたすら見て探します。作ろうとしているものによって風景画か、人物画か、という違いがあるくらいで、基本的にはひたすら浮世絵を見て、自分のアイデアにあったものを探す感じです。あとは浮世絵師によって加工しやすいものと、加工しにいくものとがありますね。

瀬川 例えば、歌川国芳という浮世絵師がいますが、彼の作品は数ある浮世絵の中でも一番ぶっ飛んでいて、その意味で完成されてしまっているんです。なので、僕が手を加えるのが難しい。また、浮世絵は時代によって絵が結構違うのですが、やりやすい時代、やりにくい時代などありますね。具体的に言えば、19世紀に入った後の作品の方が手を加えやすいですね。浮世絵も時代が経つにつれて、様々な構図やバリエーションの作品が増えてくるので、その方が面白いし、自分のアイデアを混ぜやすいと思います。

―― なぜGIFアニメというフォーマットを選んだのでしょうか?

瀬川 これは本当にたまたまという感じです。AdobeとGIFマガジンがやっていたGIFアニメのコンテストに応募するために始めました。そのコンテストでは優秀賞を2つ貰いました。

―― 瀬川さんはもともと映像を作られたりしていますが、今後挑戦してみたい表現などありますか?

瀬川 やはり実写で色々な映像を撮ってみたいです。今はプロとして「動く浮世絵」しか実績がありませんが、「この人と言えばコレ!」という実績をもっとたくさん増やして行きたいです。浮世絵以外でどんな表現が出来るのか、自分が表現したい事を常に考えています。例えば、シリーズでたくさん作れるような映像企画をやってみたいですね。妄想科学研究所という映像作品を作っている人がいて、この切り口はうまいなぁと思いました。シリーズ化されていて、つい見てしまうという感じの作品です。自分でもそういうアイデアが無いかずっと考えています。

―― 瀬川さんが作られた「ビーチフラッグス将棋」も面白いですよね。

昨年FRENZという映像作家向けのイベントに「ビーチフラッグ将棋」を出展しました。自分は“ネット的”というより、”テレビっぽい”表現が好きです。そもそもテレビが大好きですし。このイベントでも、他の人はCG作品とかインターネットと親和性の高い映像を作る人が多くて、逆に僕のテレビっぽいものが受けたような印象があります。インターネット的ではないけれど、ただ僕のような作り手が少ないだけで、ウケないわけではないんだなと、自信になりました。僕が表現している事は、あくまで「ボケ」なんです。凄くお笑い的な感覚です。作り終わった後は「凄いものができた!」と自分で思いますよ。

―― なるほど、お笑い的な「ボケ」というのはわかる気がします。今後も「動く浮世絵」の新作、さらに実写での新作も楽しみにしていますね。

瀬川さんの作品はPictboxでもご覧いただけます。

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